2003年1月13日、「メモオフ・セカンドコンサート」が開催されました。知らない人のために軽く説明しておくと、株式会社KIDのノベル形式のマルチエンディングギャルゲー、「メモリーズ・オフ」シリーズの、キャラクターや世界観を生かしたコンサートというかライブイベントのようなものです。実際のゲームソフトに参加されている声優さん本人が多数登場し、歌やトークやお芝居をするという、知らない人にとっては謎だらけの、ファンには垂涎の企画です。
前回の「メモオフ・ファーストコンサート」も見に行ったのですが、その時点では1作目の元祖「メモリーズ・オフ」を半分程度しかやっていなかったので、十分楽しめない部分もありました。その反省もあって、今回は、その1作目はもちろんのこと、昨年秋に発売されたばかりのシリーズ最新作「Memories Off 〜想い出にかわる君〜」も年内に全エンディングを制覇しておきました。これで、作中の世界観や出来事、各登場人物の癖や性格、秘密に至るまで、すべて把握できました。しかし、その最新作「想い出にかわる君」略して想君は……これは後述します。
この「メモオフ・セカンドコンサート」略してメモセカは、チケット発売の前後に納得できない点や不徹底な部分がありました。S席とA席があって、先行発売されたS席チケットは2500円高くて、しかもフィギュア付き。フィギュアいらないんですけど。でも、いい席で見たいから、仕方なくS席のチケットを買いました。しかしこれって抱き合わせ販売では? 大丈夫なんですか? 独禁法に触れませんか?(参考;23顧客が不要なものを買わされるという意味で不要商品強制型の抱き合わせ
という見解)
さらに、メモセカは昼の部と夜の部の2回公演。各公演での出演者情報が確定されたのは、S席先行発売の後。遅いよ〜。
さらにさらに、メモオフコンサートの性格上、コンサートを見に行くかどうかは、コンサートの原案を担うところの元のゲームがどんなものか、これを理解したうえで判断したいところ。然るに、チケットの発売日は11月16日(先行発売はもっと早い)、シリーズ最新作のゲームソフト「想い出にかわる君」略して想君は、Dc版、PS2版、共に11月28日発売です。こうなったら、チケット購入の判断は、今までのシリーズへの信頼度を目安にするしかありません。
そんな風にチケットを買って数週間後、シリーズ最新作である想君を買ってきてプレイしたのですが、これがシリーズとしてはやや問題作で、やればやるほど、疑問を感じる部分や消化不良な部分が目立ち、コンサートへ寄せていた期待にも、少なからず影響しました。いや、単体としては面白いんですが。
以上のような経緯を経て、期待と不安と幾許かの失望の裡に、「メモオフ・セカンドコンサート」開催日、2003年1月13日を迎えました。
2003年1月13日、曇り。五反田へ行きました。ゆうぽうとには初めて行くのですが、五反田駅の要所要所に案内標示が用意され、お蔭様で迷わずに辿り着けました。都営地下鉄五反田駅の改札から、地上に至るまでの看板を写真に撮ってみたので、並べておきます。
KIDによる2002年11月21日付けの発表を元に、出演した声優と出演しなかった声優の一覧表を作ってみました。せっかくなので、各声優さんに関して重要そうなサイトへのアンカーも併せて用意しておきました。なお、表整理の都合上、歌のみの人は除外してあります。
こうして並べてみると、メモオフ2ndメンバーのメモセカへの貢献度が際立って高いことがとわかります。
ゲームソフト | メモセカ出演者 | メモセカ出演せず |
---|---|---|
元祖メモオフ | 間島淳司、河合久美、利田優子、那須めぐみ、(昼のみ;山本麻里安) | 田村ゆかり、浅野るり |
メモオフ2nd | 池澤春菜、小尾元政、松来未祐、水樹奈々、千葉紗子、仲西 環、南里侑香、(夜のみ;菊池志穂) | 福山潤 |
想君 | 高橋美佳子、福井裕佳梨、宮田幸季、志倉千代丸、(昼のみ;清水愛)、(夜のみ;浅野真澄) | 白鳥由里、岩田光央、川澄綾子、沢城みゆき |
開場の時刻を過ぎて、ゆったりと入場しました。袋に入ったチラシ一式(写真;右)をもらった後、相摩希のフィギュア(写真;中央)を受け取りました。グッズ購入の長蛇の列が出来ている中、何故かガラすきのパンフレット売り場を発見したので1冊購入。2000円也(写真;左)。買ったのはこれ1冊だけです。
あとになって気づいたのですが、チラシ一式が袋に入った状態で配られているということ、これ、実はものすごく親切なことだと思います。これだと、チラシが鞄の中でバラけたりしないし、部屋で整理するにも好都合です。しかも、パンフも同じサイズなので、チラシ袋にパンフも入れて整頓できるので、非常に具合が宜しいです。また、フィギュアも手提げ袋に入った状態で渡されたので、受け取ってすぐ移動でき、非常に快適でした。
思えば、このような気遣いをされたチラシ配布方法は、インディーズのライブでお目にかかったことがありますが、今回は、1800席前後のゆうぽうとです。しかも昼夜2回公演ですから、およそ3600セット、この「チラシ詰め合わせ袋」が作られていたということになります。運営スタッフのご苦労と気遣いに、頭が下がります。
上記の通り、今回グッズの類はパンフレットしか買っていません。前回のコンサートでは、「台本」というものに免疫がなかったため、苦労して買い求めたのですが、その経験から台本への免疫もでき、「台本読むぐらいなら、DVDを繰り返し見た方が有意義」とまで思うようになりました。
もし、私がグッズ購入にも熱心だったら、もう少し、違った感想を持ったかもしれません。他のサイトでグッズ購入の悲喜交々を見るにつけ、そう思ったということも、付け加えておきます。
手に入った指定席はS列で、しかもかなり真ん中。これ以上ないという好条件で、夜の部を見ました。座席の条件の良さも手伝って、とても楽しく見ることができました。水樹奈々、千葉紗子などのソロ歌や、全員での歌、トビー以外全員参加の喜劇や、フリートーク、レモン投げのような客席いじり、すべてが良かった。非常に楽しかった。マグローはイケメンだし、間島さんは相変わらず僕らのヒーローだし。いや、もう本当、次回サードコンサートを見るために、メモリーズオフの新作をやらなきゃな、と思ってしまったぐらいに。
前述のような経緯があったため、正直言って、期待はしていなかったのですが、それを大きく上回る楽しさがありました。これなら、無理して昼公演も見ておけば良かったかも。……でも、チケット発売時の心境からすると、それはあり得ないな〜。
セットのフィギュアはいらないけれど、3月28日発売予定のDVDが今からとても楽しみです。
2003年1月末現在、オフィシャル系のレポートは以下の3箇所で確認できました。
その他に、今回の「メモオフ・セカンドコンサート」を見た個人の感想をネットで探してみましたが、期待していたほど、多くはありませんでした。やはり開催地の東京に来なければならないということが、敷居を高くしているような気がします。それでなくても、メモオフシリーズを知っていることが前提の企画なのですから、頗る敷居は高いわけです。
そんな高い敷居を乗り越え、メモセカを見に来て、感想を公表しているサイトさん達を集めて、てきとーに整理して並べてみました。これは言うまでもなく、ネットでたまに見かける、反応リンク集の手法を参考にしています。というか、そのまんまですね。この手法も元を辿れば、映画の広告などで、試写会で集めた感想を細切れにして並べる、というやり方を受け継いでいるような気がしますが、そんなことはどうでもいいですね。
見た目の見易さを重視して、表を幾つかに分けていますが、これは便宜上のものであり、実質的にはほとんど意味がないことを予め断っておきます。
サイト入口 | チケット予約時の様子 | 昼公演 | 夜公演 | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
Place of wind which arrives | 11/10夜の部のチケットとれますた | なさそう | 五反田駅周辺までチャリで出て | 前説やトークの内容など詳細 |
Tamaki-net | 2002/11/11 Mon 結局、買えるまで1時間近くかかりました 2002/11/24 Sun書留で届いたS席チケットの番号 | あらすじ詳細、グッズ写真多数 | あらすじ詳細。歌詞カード色違い、KAORI不在の指摘 | 2003/01/13 Mon福岡空港からの移動。写真多数 |
Beautiful Memories | コメント未確認 | なさそう | グッズ購入費が何だかんだで総額2万弱くらい | トビー千代丸のサイン色紙展示中 |
Cast Memories : やつふさ 日記 / BLOG | 東京まで往復1万円以上かかるし、宿泊先などいろいろあるんですけど、 | 前の席が空いていたので、もう優子さんたち見放題!幸せな | と思いきや、隣に座った人は態度悪いし、前に座った連中は自分たちのことしか考えないで騒ぎまくるしで、最悪の席 | なし |
Element fairy | コメント未確認 | 1時頃。流石に並ぼうかとなった時にはなかなか長蛇の列に。入るのもなかなか一苦労でした | 昼公演とは思いっきり構成違いました。 | 西焼津からの移動記録も |
多くのサイトさんを見ていくうちに、あることに気が付きました。観覧者の多くがこのコンサートについて、「参加する」という言葉を好んで使っているのです。また、その一方で、一部の観客のマナーや態度への苦言も多く見受けられます。今後、このようなコンサートを楽しく過ごすために、各「参加」者の意識がどこへ向かっており、何を見過ごしてきたのか、今一度再確認しておく必要がありそうです。
思えば、前回のコンサートは、観客の「干渉」によって黒子のパパイヤがクローズアップされ過ぎた嫌いがありましたが、前回、パパイヤをフィーチャーしまくった春菜嬢の出番が今回の演劇では少なめになっており、また、演劇以外の面でも、今回パパイヤは目立った活躍をしませんでした。客席の干渉による暴走はともかくとして、客席からの「笑い」というリアクションを受けつつ進行する喜劇は、今後もぜひ見続けたいです。原作のゲームにはない性格付けがされているキャラクターもありますが、面白いから、いいではありませんか。
また、前回のファーストコンサートでは、各声優がステージの上でアフレコをする、という企画もありました(読み上げるのは台詞というよりもポエムちっくなモノローグでした)が、これは観客に背を向けて読み上げるという性質があり、メモセカを見た現在から思い返すと、あの企画はメモオフコンサートの方向性とは違うように思えます。今回は、声優さん達から観客に積極的に働きかける傾向が見られ、個人的には、とても好感を持ちました。
今回、夜の部で春菜嬢が客席のド真ん中に登場してレモン投げをしたのも、冒頭の楽しいテロップも、直接観客へと訴えかけるものでしたよね。こういった変化からも、前回の観客の様子を踏まえてコンサート作りをしようとする姿勢が窺え、誠に頼もしい限りです。
無責任な思い付きを書いてしまいます。パパイヤもいいけど、今後、メモオフコンサートにタモルが出てきたら、きっと楽しくなるでしょうね。
サイト入口 | チケット予約時の様子 | 昼公演 | 夜公演 | 特記事項 |
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水樹奈々 私設ファンクラブ OCEAN DREAM | 11/11私は元々A席の予定だったんで確保に動かなかったのですが 11/16 昼の部は無事確保 | 1/13水樹奈々 | 上記のどれか1つでも自分の行動と当てはまった方考え直してくれ | コールに一家言あり |
さんとらっこ | 朝からメモリーズオフセカンドコンサートのチケット取りに奔走していました。 | 昼夜ともに:楽しまなきゃソンです。ということで、吠えまくってました。いや〜かなり楽しんだね。 | 別掲の仲西環中心レポートで投げたものの秘密がわかります | |
Edgeworth Box | コメント未確認 | 「メモオフ2ndコンサート参加者の皆さんへ平和のために協力しよう」と書いた紙を下げて署名活動に勤しんでいる人の姿 | なさそう | 想君ネタバレ行為も |
まいまいる〜む | コメント未確認 | 昼夜不明:会場大盛り上がり。スゴイね。こんなにたくさんの人を楽しい気持ちにさせるイベントって、それだけでスバラシイと | 双海詩音の「雨の日の想い」作詞作曲者、江幡育子さんのサイト。旦那様が志倉千代丸バンドに参加しているという記述が2001.12.2.Sunと2001.12.4.Tueに |
余談になりますが、今回も大活躍の池澤春菜さんは、メモセカ当日、非常に体調が悪かったそうです。私はまったく気づきませんでした。以下、本人の日記から抜粋します。
リハ三昧。
今日は10時間……明日はたぶんもっと。
弁当はガテン系
記録更新リハ12時間。
昨日の副流煙に喉粘膜をやられ、そこから菌が侵入。
夜になるにつれ気力も尽きかけ、スタジオの隅でボロ雑巾のように丸まってる春菜に、スタッフの方が優しい言葉を。
薬局で「今日だけ!! 今日だけ生き延びさせてください!! 明日のこたぁどうでもいいんです」と涙で訴え
舞台裏の様子は、浅野真澄さんの日記が参考になりそうです。ますみんはお昼ごはんを待つ間も台本を開き、山本麻里安さんは、ポケモン集めをしながらも台本を覚え、メモセカに備えていたそうです。
前にも少し触れましたが、私も前回のコンサートに行っております。そんなわけで、どうしても、前回を踏まての感想になってしまいます。前回は、ほぼ全員がソロ曲を歌う、歌を中心とした構成でした。だからこそ、「コンサート」と銘打っていたのだと思います。これは、DVDが発売されたら、その歌の部分ではお目当ての声優さんのアップが必ず押さえられているという安心感があります。声優ファンなら、そこは見逃せないポイントだと思います。
翻って今回は、歌う人の数を絞り込み、お芝居やトークなどもほどよく楽しめる、幕の内弁当のような構成でした。これにより、前回に顕著だった密度のバラつきが少なく、ダレることなく最後まで楽しめました。やっぱり、短くても最後まで気持ちよく楽しめ、気持ちよく終われる、ということが最重要ポイントだと思いますので。下手に詰め込んで、途中ダレてしまったり、或いは、長さが自慢の耐久レースのようなコンサートには、私はあまり居合わせたくないです。DVDで見るなら別ですが(飛ばせるから)。そのため、メモオフコンサート全体として楽しむなら、前回よりも今回の方が面白かった、と言えると思います。
また、進行管理も、(昼の部は見ていないので知りませんが)夜の部は、定刻通り18時に始まりました。終演時間は確認していませんが、ひどい遅れはなかったと思います。前回は派手な遅れで遠征組を泣かせたようです(@那須めぐみさん応援ページ☆ナースステーション☆)から、これは大いなる進歩です。
あと、前回との違いとして挙げられるのは、衣裳の傾向ですね。前回はフリフリの衣裳の人が多かったのですが、今回はフラメンコの踊り手が穿くようなひらひらになっているスカートの人が目についたかな、と思います(参考:フラメンコ衣装工房アトリエミエ、フラメンコ衣装のお仕立てと販売・ロゼ花子)。
開催地は東京のみ、チケット代は高価、そして、風邪やインフルエンザの季節ですから、断念した人がたくさんいるのも頷けます。そんな諸事情により、行かなかったり、行けなかった人達の声です。今は期間限定ながらパンフや台本なら通販で買えるので、前回より遥かにサービスが向上していると思います。
仕事の都合上、今回は泣く泣く参加を見送る事に・・・@メモオフ寮においでよ♪
新年一発目の愛ちゃんイベントはどうだったんでしょうか@Lover's lane 気になりますよね。
実際どうだったかは参加した人に聞いてみないとわからないけど、6kに見合うようなエンターテインメイントを見られるとは思えなかったのよね@Acoustic Cherry
恐ろしく混み合っておりました。折角の光接続なのに全く意味ないくらいに(汗)……と苦労してチケットを確保していながらも、1月13日はインフルエンザに見舞われていたようです@THE BABY BLUE
ま、当日券参加の予定だったから実害(?)はないけど。お仕事してたらなんだかどうにも凹んだので、お仕事終了後即帰宅。@ひーたん熱烈応援ページ♪
ここでは全体の流れを無視して、千葉紗子が良かった!という極めて個人的こと感想を集中的に書きます。個人的には今回のメモセカ最大の収穫がこのことでしたので、特筆しておきたいと思います。具体的には歌のときです。
夜の部、まだコンサートの序盤で、まだ客席のテンションも慣らし運転、といった状況で千葉紗子は登場し、そして「breath」を歌いました。私はこのとき、「あら、前髪が可愛いね」などという瑣末なことに目を配るほど落ち着いていました。しかし、その一曲が終わった頃には、すっかり心躍る気分になっていたようです。今回のコンサートは、この歌を境に、集中度が高まっていった気がします。
私の知っている千葉紗子は、おでこ全開のロングヘア、そういう髪型でした。このたびの「メモオフ・セカンドコンサート」で初めて、前髪を下ろした現在のちばさえを見たわけですが、とても新鮮に思われました。座った席が中央寄りでステージ近くという、好位置だったために、歌い手の表情もよく見えました。うっかり前髪に注目していたら、自ずと歌い手の表情も目に入ってしまう。これ、道理です。うっかりじっくり見入っていたら、いつの間にやら引き込まれていました。たぶん、おそらく。そしてそれは、千葉紗子の持つ歌唱表現力があってのことでしょう。音楽のニュアンスを表現するのに長けているのですね、きっと。それとも、ボーカルのあの丁寧さがいいのかな。私は以前、歌の良さに惹かれて「トゥインクル☆スター」なるシングル盤(参考;Flashで試聴できるページ)を買ったことがありますが、思えばあれも千葉紗子でした。
斯くして、千葉紗子の歌はイイと再認識すると共に、歌っている千葉紗子を見るのもイイという新たな認識を得ました。それにしても、前髪ひとつで人はこうも萌えるのか……、いや、歌っている千葉紗子を見たのも、事実上、このときが初めてだったから、前髪云々は、さほど、関係ないという気もします。
嬉しいことに、この日はステージ後半で、南里侑香と千葉紗子のデュエット曲もあり、このこれがまたたいへん良い出来映えでした。偏った感想ですが、「メモオフ・セカンドコンサート」では千葉紗子が一番印象強かったので、書き留めておきたかったのです。
前述のサイトさんの中から、この日のコンサートの千葉紗子を褒めている文章を掻き集めてみました(ちょっと水増し風味)。
最後に、コンサートの出演者やスタッフ各位、そして、楽しく、生き生きとしたレポートを公開している個人サイト運営者各位に感謝と敬意を表します。それから、今回のコンサートのチケットを苦労して手に入れてくれ、本ページの作成にも協力してくれた友人に、大いに感謝します。いやー、最高に満足しましたよ、ほんと。